アスベストの分析方法
現場から建材のサンプルを入手し、さまざまな手法で実施するアスベストの分析調査。調査ごとにそれぞれ手順や目的が異なります。ここでは、アスベストの各分析方法の目的や分析の流れ、調査の費用・日数目安などを解説します。
アスベストの分析方法を紹介
アスベストの分析方法は大別して2つ。定性分析・定量分析に分かれています。
定性分析
定性分析は、アスベストに指定されている6つの物質がサンプルに含まれているかどうかを調べる方法です。建材に含有されるアスベストの種類の特定が目的で、実体顕微鏡と偏光顕微鏡を使う方法と、X線回折装置や位相差・分散顕微鏡を使う方法に分かれます。
実体顕微鏡と偏光顕微鏡を使用する場合、まず灰化などの処理を実施した後、実体顕微鏡で繊維の有無をチェックします。必要に応じてプレパラートを作成し、偏光顕微鏡で屈折率や形態を確認する作業を行います。
X線回折装置や位相差・分散顕微鏡を使う方法では、まずサンプルをX線回折装置で確認し、アスベストの種類を判定。次に屈折率が異なる浸液へサンプルを浸し、位相差・分散顕微鏡で色の変化を調べます。色の変化により、アスベストの有無を判断する方法です。
定量分析
定量分析は、建材にアスベストがどの程度含まれるか、割合を調べることを目的としています。最初に定性分析を行い、アスベストの含有が認められた場合に定量分析を実施します。主にX線回折分析法で含有率を調べます。
X線回折分析法による定量分析では、X線をサンプルへ照射し、反射した回折線の分析を行います。アスベストは種類により固有の回折線を放つため、これを調べることでアスベストの含有量(質量)が判定できます。
参照元:「アスベスト調査・検査専門機関」https://www.taiyo.vc/price/bunseki/
偏光顕微鏡法
偏光顕微鏡法は、色や屈折などの光学的な性質を調べ、アスベスト含有の有無を判断する方法です。国際規格をJIS化した、JIS A 1481-1という方法で分析を行います。なお、アスベスト分析のJIS規格は、3種類に分かれており、それぞれ特徴が異なります。
- JIS A 1481-1
実体顕微鏡・偏光分散顕微鏡を用いた分析手法 - JIS A 1481-2
位相差・分散顕微鏡法ないしX線回折装置を使う分析手法 - JIS A 1481-3
X線回折装置でアスベストの含有率・量を調べる方法
偏光顕微鏡法は、上記のJIS A 1481-1に該当します。定性分析と同じく、アスベストの有無と種類を判定することが可能。反対にアスベストの含有率・量を調べることはできないため、定量分析とセットでの調査も検討しましょう。
参照元:「BLUE ACT」https://www.blue-act.com/02-asbestoschousa-shiga-kaisha.html
分析調査にかかる費用・
日数は?
アスベストの分析調査にかかる費用の目安は、およそ3〜5万円です。価格が手頃な業者だと、2万円台で調査してもらえるケースもあります。ただし、調査を依頼する業者や、分析を依頼するサンプル数、分析手法などによって費用が異なります。分析手法や精度については、事前に聞いておくことをおすすめします。
アスベストの分析調査にかかる日数は1〜2週間が目安です。こちらも分析手法や調査を依頼する業者・サンプル数などで変動します。また、調査を依頼する業者の混雑具合も関わります。解体・除去工事のスケジュールに無理が生じないよう、納期はしっかりと確認しておきましょう。
参照元:「アスベストまるわかりナビ」https://asbestos.kaitai-maruwakari-navi.com/faq/253/
参照元:「アスベスト調査・検査専門機関」https://www.taiyo.vc/price/
参照元:「日本環境エンジニアリング」https://www.nke.biz/2021/05/30/アスベスト調査費用について/
アスベストの分析は重要性が
高い
アスベストの分析は重要で、作業員の身を守ることに繋がります。建材は目視だけで判断できる情報が限られており、実際に調べてみないと分からないことも少なくありません。そのため、分析によってアスベストの有無を明確にすることが大切です。
もし分析しなかった場合、取り扱いを間違えて大気中に飛散させたり、作業員を危険にさらすリスクが高まります。アスベストは非常に危険な物質ですので、確信が持てない時は必ず分析調査をしてもらいましょう。
参照元:「サンキョウ・エンビックス」https://sankyo-ltd.co.jp/service_qa/4073.html
参照元:「ユーロフィン」https://www.eurofins.co.jp/環境分析/アスベスト/qa-アスベスト分析/
参照元:「厚生労働省(PDF)」https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000201490.pdf
参照元:「理研分析センター」https://riken-ac.com/asbestos/
参照元:「アスベストニュース」https://asbestos.media/home/アスベスト分析の「定性分析」と「定量分析」の/
参照元:「愛研」https://ai-ken.co.jp/column/1474/