アスベストと
ロックウールの違い
建材として使われていたアスベスト。同じく建材として使われており、綿のような外見がアスベストと似ているロックウール。この2つの素材には、どのような違いがあるのかを解説していきます。
アスベストとロックウールの
違いを分かりやすく説明
アスベストもロックウールも、断熱性・耐火性・防音性に優れていることから、断熱材に使われてきました。
この2つの素材の大きな違いは、発がん性の有無にあると言えます。アスベストは国際がん研究機関で「発がん性」ありに該当とされており、ロックウールは「発がん性に分類できない」とされているのです。また、繊維の太さにも違いがあり、アスベストは繊維が非常に細く、ロックウールの数十分の一から数百分の一の細さと言われています。アスベストが細く、呼吸系に入りやすいことも健康被害をおよぼす一因となっています。
他にも異なる部分があるので、確認してみましょう。
名称 | アスベスト | ロックウール |
---|---|---|
別名 | 石綿(いしわた・せきめん) | 岩綿(がんめん) |
素材 | 天然の鉱物繊維 | 人造の鉱物繊維 |
繊維径 | ロックウールと比較し、数十から数百倍細い (呼吸系に入りやすい太さ) |
単繊維の平均繊維径3~5μm (呼吸器系に入りにくい太さ) |
発がん性 | 国際がん研究機関で、「発がん性に分類できない」に該当 (お茶と同じグループ) |
国際がん研究機関で、「発がん性あり」に該当 (喫煙と同じグループ) |
健康への影響 | 石綿肺、肺がん、悪性中皮腫の症例が認められている | 多量吸入により、じん肺の可能性。ただし症例なし |
法規制 | 石綿障害予防規則 建材等製造等禁止(クリソタイル) 製造等禁止(アモサイト、クロシドライト) |
粉じん障害防止規則 |
※参照元:【PDF】大阪市公式HP(https://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/cmsfiles/contents/0000005/5592/RW_AS_CHIGAI.pdf)
アスベストを混入した
ロックウールが存在する
現在市販されているロックウールにアスベストが含有されているものはありませんが、過去に製造された物の中には、アスベストとロックウールが混じった物があります。
なぜ、そのような製品が作られるようになったのでしょうか。
まだアスベストに関する規制が整備されていない時代には、鉄骨の耐火被覆構造をアスベストの吹付施行で指定されることがありました。その際に、少しでも安い価格で対応するため、当時アスベストよりも安価だったロックウールを代替品として開発する流れがあったのです。
ただ、ロックウールの鉄骨に対する接着強度が強くなかったため、つなぎ材としてアスベストを含ませていたのでした。
このような経緯でアスベストが含有されたロックウールも存在するため、調査には注意が必要です。
グラスウールでアスベストを
含有したものはある?
ロックウールに似た素材として、グラスウールがあります。グラスウールも断熱材として使われており、ロックウール同様に発がん性など健康への影響は少ないと言われている素材です。
では、グラスウールにもロックウールのようにアスベストを含んだものがあるのでしょうか。
調査した結果、グラスウールでアスベストを含んだものはないようでした。(※)グラスウールは、建築で使われていたとしても、比較的安全な素材と言えそうです。
※参照元:佐賀市公式HP(https://www.city.saga.lg.jp/faq/index.php?action=detail&uid=41688)
見た目が似ているので
アスベストの調査は
専門業者へ
アスベスト・ロックウール・グラスウール共に繊維質で、見た目が似ているため、自身での調査や判断は非常に危険です。
判断の誤りだけでなく、健康にも影響する可能性があるので、調査の際には専門業者にいらいするようにしましょう。