アスベストの劣化とは
アスベストが劣化するとどうなる?
吹付アスベストが劣化すると、繊維の崩れや建材からの剥離が起こり、繊維が飛散しやすい状態になります。
また、アスベストを含有した建材が劣化すると強度が弱まり、少しの外圧で損傷を起こしやすくなります。つまり、それだけアスベストが飛散する可能性が高まるということです。
板状に固められたアスベストを含んだスレートボードや、天井裏・壁の内部にある吹付けアスベストは通常使用の状態であれば、室内に繊維が飛散する恐れは少ないと言われていますが、建材の劣化によってはリスクがあることを知っておきましょう。
例えアスベストが固められたり囲われたりしている状態であっても、建築物の解体を行う場合には、アスベストが飛散することが考えられます。そのため解体の際には、アスベストの除去作業が必要です。
劣化したアスベストの形状
アスベストは劣化の度合や状況により、見た目の形状が変化します。ここでは変化した形状にどのようなパターンがあるのかを確認しましょう。
層表面の毛羽立ち | 結合剤の劣化などにより、吹付アスベストの表層に毛羽立ちが現れたもの。劣化し始めと考えられる |
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繊維のくずれ | 毛羽立ちの状態から劣化が進むと、表層や表層下部の繊維がほぐれていき、荒れた状態なる |
垂れ下がり | 吹付アスベストの一部が劣化した結果、重力などの外力によって劣化部分が垂れ下がった状態になる。アスベストが脆くなっており、飛散する可能性がある |
下地とアスベスト層との間の浮き・はがれ | アスベストの劣化により吹付を施した下地との接着力が低下し、アスベスト層と下地との間に剥離が起こり、すき間が生じた状態 |
層の局部的損傷・欠損 | 浮き・はがれの劣化が進み、または、人の手によって、一部に凸凹が生じたり、剥がれ落ちたりしている状態。すでに損傷個所やはく落箇所からアスベストが飛散している可能性が高い |
層の損傷・欠損 | 層の局所的損傷・欠損が進み、または、人の手によって、施工した大部分に凸凹やはく落が生じた状態。アスベストが飛散している可能性が非常に高く、とても危険な状態 |
劣化したアスベストの危険性
劣化したアスベストは、それ自体が脆くなっているため、少しの外圧で大気中に飛散する恐れがあります。
アスベストは、飛散することで繊維が肺の中に入り込みます。アスベストが肺に入り込むと、中皮腫やアスベスト肺、アスベスト肺がんなど、命にかかわる疾病を発症してしまう可能性があるのです。
劣化したアスベストは、非常に危険性が高いので、万が一見つけた場合は、専門業者に依頼して確認を行い、適切な処置をすることをお勧めします。
アスベスト劣化度診断
吹付アスベストの劣化については、これまで定量的に分析・評価できる手法が確立していませんでした。
しかし、最近ではアスベストの劣化診断を行える会社も出てきているようです。
アスベストの劣化診断を行うことで、リスク度に見合った処理方法が判断できるため、アスベスト対応時のコストを下げられる可能性があります。
除去以外の方法でコストをかけない方向で進めたい場合には、試してみても良いかもしれません。